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福丸劇場【第1話】
ラブラドールレトリバー 誕生:2018.2.1 オス イエロー
▲まさかの登場をしてしまった福丸(2018年3月)
店長が面倒をみらされている福丸…。
ぷりん太には常に犬の影が付きまといます。
他にも犬が3匹いるのに、なぜ新たな犬が必要だったのか?
なぜ店長の家に福丸が来た(来てしまった)のか。
店長の複雑な心境とともにご説明です。
サチの亡き後
我が家には「サチ」という捨て猫が居ました。
病気の為、2018年1月1日に9歳で亡くなってしまったのですが。
サチが亡くなってから、奥さんから毎日のように「猫がどーした、こーした」といった話が続きます。
いかに猫が素晴らしいかと。
が、却下し続けました。 息子は猫アレルギーです。
しかし、あまりにしつこいので「犬なら」と言ってしまったのがダメでしたね。
希望はまさかの大型犬
奥さんの希望する犬種は「シェパード」「バーニーズマウンテンドッグ」。
「何考えてるんだ? 冗談じゃないよ」
と言いました。
我が家にはチワワ×2、コーギー×1と居ます。
特にチワワズ達は大型犬が来たら、もはやエサです。
▲迫り来る脅威に気づいていないチワワズ
個人的にはチワワ×3までなら、耐えられると思ったのですが。
店長からの希望
「子供たちと仲良くできる傾向の犬」
「とてつもなく小さな大型犬」
というのが条件です。
息子(9歳:やはり動物好き)も大型犬と暮らせると大喜びです。
娘(3歳)はよく分かっていません。
「まぁ、奥さんには普段から何かと迷惑かけてるか…」
と、どこか諦め気味の店長はソファーとTVボードの高さの寸法を測りました。
映画鑑賞するとき邪魔にならない、目の前を横切ってもモニターを遮らない高さは何センチかと。
結果的に全く意味がなかったのですが。
結果、犬種は「ラブラドールレトリバー」で…
どこか気乗りがしないと思いながらも、話は進んでいきます。
奥さんが見つけたラブラドールのブリーダーさんから、譲渡可能なイエローの子犬(オス)画像を送ってもらいました。
それがコチラです↓
▲お世辞にも可愛いとは思えなかった子犬
かなり楽しみにしていた奥さんも、画像を見た瞬間に停止しました。
よくよく見ると「老け顔」ですかね。
なかなか貫禄のある子犬に見えます。
「威厳がある顔じゃないか。 名前は格調高くアルフレッドとか…」
と、自分に言い聞かせてましたが、どうやっても無理だったので今回は辞退しようと。
「じゃ、この一連の犬騒動は無かったことに」
と奥さんに言い残し、その場を後にしました。
正直、気持ちが軽くなりました。
すでに3匹いますからね。 子供達もまだまだ小さいですし。
犬達は可愛いのですが数が増えれば増えるほど、やはり大変なんです。
特に店長にはコーギーのハナが居ますから、必要性も感じていません。
なんだかんだで見学に行くことに…
しかし、奥さんも今回は「他にも子犬がいっぱいみたい」とか何とか言いながら食い下がります。
仕事でもその執念を見せてくれたらと思うのですが。
結局、休みの日に県外まで車で見に行きました。
「通行止め」
「道に迷ってたどり着けない」
などの思惑とは裏腹に、ちゃんとカーナビがブリーダーさんの元へ連れて行ってくれました。
ブリーダーさんに挨拶をし、子犬達を拝見させてもらいました。
そこには生後二ヶ月のコロコロしたラブラドールの子犬達が10匹以上います。
毛並みはブラックばかりですが、やはり無邪気な子犬達は可愛いですね。
みんな人懐っこく、頼まなくても3匹ほど寄ってきます。
抱っこをしてあげると、顔や手を舐め回しながら尻尾もブンブン振っています。
まるで店長が来るのを待っていたかのような子犬達です。
「可愛いじゃないか。 飼ってもいいかな…」
と。
他にもご家族が見えていて、ハンサムなブラックのラブラドールを引き取って帰るところでした。
カワイイ子犬達に囲まれて幸せな時間を過ごしている店長の傍らで、奥さんがブリーダーさんと何か話しています。
ブラックの愛犬候補を抱えて話を聞きに行くと
「大人しい性格の子はいますか?」
などと奥さんが言っています。
確かに。
カワイイんですが激しいんですよ。
子犬でもすでにハナと同じ位の大きさですし。
するとブリーダーさんが広場の隅っこまで行き、フェンスの横で倒れている1匹のイエローの子犬を抱えてきて
「この子はどうでしょう?」
まさかの再会
その子犬を見た瞬間
「!!!!!」
その子犬を見たときは、言葉が出ませんでした。
我が家で確認した例のアルフレッドです。
実物は顔にもっとシワがあります。
たまたま写真写りが悪かったのではなかったです。
アルフレッドは無かった事になっていたので、すっかり存在を忘れていました。
現実に戻された気分です。
ブリーダーさんもこの子犬の売り込みは必死に見えました。
多分、気のせいじゃ無かったと思います。
アルフレッドはブリーダーさんに抱き上げられている時も、憂鬱そうと言いますか終始うつ向き加減です。
関節に力をいれてない感じで、全身ダラーンとし、尻尾もピクリとも動きません。
サイズも他の子犬達に比べて軽く一回りは大く、お腹もボコンと出ています。
歩き方も何というかヨロヨロ気味です。
見た目も態度も人生の峠を越えているかのような、生後二ヶ月の子犬です。
奥さんは
「大人し~」
などと言って抱いています。
もちろんアルフレッドはうつ向きながら無反応です。
【店長の後日談】
「どう思われて非難されても結構ですが、アルフレッドを選ぶのは本当にイヤでした。 他の子犬達と比較しても、選ぶ理由が全く無いんですよ。 何が悲しくてこの子犬をと。 もういい大人ですから、ブリーダーさんの前でイヤだと言わなかっただけです。 本当にアルフレッドはちょっと変と言うか、異質、異様な感じでしたから。 この子犬を希望する奥さんは何考えてるんだ?って」
奥さんとの攻防
その後、かなり冷めた目でアルフレッドを観察していた店長は、奥さんと少し話をしました。
店 長「アルフレッドはやめとけ」
奥さん「えー、カワイイのに」
店 長「カワイイ? メガネがいるんじゃないか? それに、雰囲気やサイズが他の子犬と違いすぎる」
奥さん「でもイエローにしようって…」
店 長「いや、気が変わった。 ブラックでいい。 どうしてもブラックがいい(こっちも必死です)」
奥さん「でも、この子売れ残りそう…」
店 長「その時は価格も下がって誰かが引き受けるんじゃないか? 俺達じゃない誰かが」
奥さん「でも、残り物には福があるって…」
店 長「(可能性は高いですが)まだ売れ残ると決まったわけじゃ無いんだが…」
奥さん「…」
店 長「それに、売れ残りならジョーとリク(我が家のチワワズ)を引き取った。 2匹も」
奥さん「……」
店 長「アル、お前も少しは選んでもらう努力をしないと」
アルフレッド「……」
そうは言っても、今回は奥さんの慰労を兼ねた新たな家族の購入です。
個人的な希望は言うまいと決めていたのですが…。
店 長「どうしてもこのお爺ちゃん顔を?」
奥さん「きっといい子に育つと思う」
店 長「そうだろうか…。 うーん。 うーん。 うーん。 福か…」
命名:福丸
奥さんとの激しい攻防の最中にブリーダーさんが来て
「いかがですか?」
と聞いて来ます。
意を決し、声を押し出しながらボソボソと
「このイエローの子犬に…… この子犬に……します。 名前は【福丸】で…」
と、言ってしまった時は何か罪を犯した気分になりました。
名前もレトロな感じに変わっています。
周囲の強敵達に打ち勝って我が家に(奥さんに)選ばれた福丸
我が家は売れ残りや、売れ残り候補を引き取るのが習慣になっているのか…。
他にも10匹以上、十分過ぎる位の選択肢があったのに…。
気の迷いか。
疲れていたのか。
寝不足だったのか。
もう、面倒だったのか。
あまりに売れなさ線だったので可哀想に思ったのか。
なぜ奥さんはギリギリで思い直して止めてくれなかったのか。
見た目で選んだのではないのは確かです。
しかし…。
何かと複雑な心境になった帰路
何だかんだと手続きも終え「じゃ、帰るか…」と、しぶしぶ福丸を車に乗せる時です。
奥さんは車のトランクを開け、移動用キャリーに福丸を放り込むと「バンッ!」とトランクを閉め、さっさと車に乗り込みました。(ここら辺に奥さんの人間性が見て取れます)
「荷物じゃないんだから」
と、見兼ねた店長は、2列目のシートにキャリーを乗せ、福丸から人間が見える位置にセットしました。
帰りの車内では
奥さん「福ちゃんに決まって良かったね」
店 長「(良かった?)」
奥さん「でも、大型犬とか本当に大丈夫?」
店 長「......。 一応、切り札がある」
出生の秘密 巨大化が約束されていた福丸
ここで奥さんからショッキングな発言が。
奥さん「ブリーダーさんから聞いたけど、福ちゃんねぇ、絶対大きくなるって(ちょっと嬉しそう)」
店 長「意味が分からない」
奥さん「福ちゃんが生まれた時ね、普段生まれる子犬の数の半分も生まれなかったって。 だから、福ちゃんは普通の子犬より栄養分がいっぱい・・・(ここからは覚えていません)」
思わず急ブレーキを踏みそうになります。
昔から嫌な予感は当たります。
今の今になって…。
ラブラドールを選んだ理由は何だったのか…。
何のためのソファーとTVボードの採寸だったのか…。
中型犬にしたかったのを我慢し、ほぼ全ての大型犬のサイズを調べた努力は何だったのか…。
奥さんにはラブラドール にする理由を念入りに説明していたのですが。
今まで約20年に渡って幾度もラブラドールの出産に立ち会って来たブリーダーさんが、福丸の巨大化を保証してくれていたのです。
もう福丸は後部座席に居ます。
今からでも引き返すべきなんじゃ…。
【動物病院院長からの評価】
後日、行きつけの動物病院の院長さんが
「最近は大型犬もあまり大きくならないようにする傾向があるのに、このしっかりした体格は今時珍しい…。 この子はきっと大きくなる!!」
と、福丸のゴツい前脚をニギニギしながら言ってくれたそうです。
他の獣医さん達も入れ替わり見に来て「おぉ~」などと感嘆の声が上がっていたと、嬉々として話す奥さんです。
店長的には、言いたい事がここで書ききれないほどあります。
▲動物病院での福丸(2018年8月)
帰りの車内
車内では店長の内に秘めた怒りを察知してか、家族と離れた不安からか、
福 丸「キュー、キュー、キュー」
と、顔に似合わない、可愛い声で延々と悲しそうに鳴いています。
高速道路だったので、サービスエリアで一度止まりました。
少しだけ外に出して水をやりましたがショボーンとし、ほぼ動かず水も飲みません。
店 長「分かるぞ。 家に帰りたいんだろ? 今なら引き返せる。 全然近いし。 一瞬の付き合いだったけど、高速代とガソリン代と今日までの時間は気にするな。 【福丸】という言葉は忘れろ。 いつか誰かに新しい名前をもらえる日が来ると思う、多分」
と、言ってあげたかったのですが、
奥さん「福ちゃん! こっちにおいで」
などとやっている奥さんの前では言えませんよね。
そこから一気に帰ったのですが。
高速道路を降り、あまりにキューキュー鳴く福丸を助手席に連れて来ました。
助手席に移って膝に乗せたんですが、やはり重たいんですよ。(帰宅後の体重測定結果8kg)
膝が痛くなって来たので足元に移動してもらった時の画像がコチラ↓
▲ブサイクさを隠しきれない福丸(2018年3月)
福丸的にはウケ狙いではないのですが。
この後、このまま(顔を挟んだまま)寝ました。
やっと家に到着です。
色々な不安と共にラブラドールが登場です。
何とも言えない気疲れが店長を襲います。
子犬といえ、大型犬との暮らしは現在も軽い修羅場です。
世話係:(なぜか)店長
初日から「店長の犬」になっています。
もう訳がわかりません。
既成事実にされるとマズイので、事あるごとに
店 長「福丸は家族皆んなの犬だ!」
店 長「皆んなの福丸なんだ!!」
と言っているのですが…。
教育係:ハナ
ここで帰りの車内で奥さんに言った「切り札」の登場です。
帰宅するなり
「ハナ、来い!」
と呼び、手をパンパン叩くといつも通り「ハイハイ」と、縄張りのお風呂場から姿を現します。
「うんうん」とハナのお腹を撫でながら、福丸の教育係を頼みます。(犬にすがる店長)
ハ ナ「(福丸を見ながら)ニューフェイス?」
店 長「イエス」
ハナとは普段から英語でやりとりします。
事情を説明すると、ハナも快く了承してくました。
▲店長の期待を一身に背負ったハナ
スパルタ過ぎるハナ
その後、ハナはチワワズとじゃれ合っている福丸のもとに行き
ハ ナ「ゥゴワァ!!!!」
ハ ナ「ガルァッ!!!!」
と、活字にならない声で福丸を威嚇しました。
もう、福丸は恐怖して部屋の隅の椅子の下から出てこれません。
犬の世界は縦社会ですからね。
どこまでいっても我が家ではハナがトップです。
店 長「いや、福丸も大変だな」
と、ソファーから見物していると、全速力で福丸が膝に飛び乗って避難しに来ました。
一体どういうつもりでしょうか? 困りますね、うっかり懐かれたらマズイので。
どうも膝から移動しそうにないので、仕方なく背中をポンポンたたいてあげていると、店長の膝にオシッコを漏らして寝てしまった福丸です。
▲店長の膝でよく寝ていた福丸(2018年4月)
▲遊ぶときは一緒の2匹(2018年6月)
その日の晩、気苦労が重なりすぎ泥のように眠っていると、息子が起こしにきます。
息 子「お父さん、福丸の鳴き声がずっとする。 ちょっと悲鳴っぽい」
店 長「そうか。 お父さんは寝るのが忙しい」
息 子「……。 イジメられてるっぽい」
店 長「そうか。 ハナだろ。 助けてやれ。 ついでに今晩はお前の部屋で面倒見てやってくれ。 お前ならやれる」
息 子「無理」
店 長「そうか」
子供の育て方を間違えました。
仕方ないので、心労で弱った体を鞭打ち、わざわざリビングまで行ってあげて福丸を救出してやりました。
不本意ながらその日は店長の部屋に「オシッコするなよ」と念押しして泊めてあげました。
こうして福丸と店長の、長い長い最初の1日が終了です。
家の中で犬を飼うということ、思うこと
当初、家族(店長除く)に喜んで迎え入れられ登場した福丸。
そんな福丸も2018年10月末で丸9ヶ月となります。
大変元気そうです。 「たまには病気でもしてみろ」と念じるほど元気です。
ブリーダーさんが言っていた「おとなしい」とは一体何だったのか。
周囲(店長除く)の期待通り、平均値を越えて成長中です。
残念ながら体重40kgに到達するのも、そう遠く無い気がします。
40kgになったら、記念にキャンペーンでもしましょうかね?
▲毎日が楽しくて仕方ない福丸(2018年9月)
ラブラドールは大人になる(落ち着く)までが大変手こずるそうです。
例を挙げると
「壊し屋」
「家が壊れる」
「日々が戦い」
「家中がボロボロ」
「家具がメチャクチャに破壊される」
などなど。
これらはラブラドールに限った話では無いと思いますが。
例に漏れず、我が家でも「福丸劇場」(事件)が毎日絶賛公演中です。
1日に何度も公演されます。
他のラブラドールの飼い主様のコメントは全て本当です。
しかし、です。
元々、犬は家の中で飼うようにできていないですからね。
人間様「家で一緒に暮らしたい」
とやらは所詮、人間様(我が家では奥さん)のワガママじゃないかなと。
福丸も結構な事をやってくれて、その都度注意しますが犬は全く悪くないですよ。(もう、仕方ない)
あらゆる物(椅子やゴミ箱をはじめ色々)をなぎ倒し跳ね飛ばし、家財や子供のオモチャを噛み壊し、壁紙やその他を引き裂きで被害も続出中です。
床も執念深く攻撃。
また、子供達が入浴中の浴室に突進して乱入し、一緒にお湯に浸かるのもお気に入りでした。
はっきり言って犬というより、破壊力のある3人目の子供のような位置付けになっています。
福丸との付き合いは大変ですが、良いところはあります、多分。
ハナが厳しい(よくハナの顔色を伺っている)というのも大いにありますが、子供なりに我慢もしています、多分。
いいヤツですよ福丸は、多分。
以上が福丸のご説明です。
亡くなったサチの後釜として登場した福丸。
今のところ奥さんが言うところの「福」とやらは、これっぽちも実感がありません。
福丸が店長に「福」をくれるのは何年か先のことだと、もはや確信に変わっています。
でも今はそんな事より、早く「落ち着く日」が来たらいいなと、ハナと共に首を長くして待っています。
(忠犬ハナでさえ落ち着くまで約5年)